ファースト・タームの反省

MBAのファースト・タームが終わって、冬休みを過ごしている。

ファースト・タームの3ヶ月間、満身創痍になりながらも気力を振り絞って歩を進め、ボロ雑巾のようになりながらもなんとかゴールにたどり着いた、というのが率直な感想だ。良かった点もちらほらあるのだが、反省すべきことが数多頭に浮かぶ。30歳を超えてこれほど壁にぶち当たり苦しむということは、日本で社会人を続けていては不可能だっただろう。そういった意味では、このMBA留学は期待以上だと思う。しかし、この経験から学び、今後に活かさなければならない。さもなければ、高い学費を払って挫折を味わっただけで終わってしまう。というわけで、ファースト・タームの反省点を洗い出し、分析し、セカンド・タームや今後の人生でどのように振る舞うかを考える。

もっとも反省すべき点はグループ・ワークでの振る舞いである(というか、これに尽きる)。これを改善できないことには、私に未来はないといっても過言ではない。
私が通っているESADE MBAはグループ・ワークが多いことが特徴で、ほぼ全ての課題に対してグループで取り組むことが要求される。この目的は、多様な国籍、職歴のメンバー間で意見や感情が激しく交差するカオスとも言える環境で、チームとして成果を出すことである。これは理にかなっている。実社会でも様々な意見や背景を持つメンバーでチームは構成され、そのチームで仕事を進めることがほとんどである。グローバルな環境でリーダーとして活躍するためには、そのようなチームを導き、成果を出すことが要求されるのだ。
私は前の会社でプロジェクトマネージャーとしていくつかのプロジェクトを成功に導いたことがあるし、グローバルプロジェクトで海外のメンバーをリードした経験もあったため、割と自信があった。しかし、その自信は見事に砕け散った。

まず、自身のグループ・ワークでの振る舞いを思い返してみる。
ファースト・タームの前半、私はまるで雛鳥のように、受け身で指示待ちになってしまっていた。私は自分のビジネス経験と英語に自信がなかった。そして、プライドが高く自信に満ちたエリート外国人たちに圧倒され萎縮してしまった。ミーティングでは議論を止めてしまうことを恐れてほとんど発言できず、能力に自信がないため課題にも発表にも積極的に関わることができなかった。ただ座ってニコニコしている、いてもいなくても同じ存在だったと思う。最初は、チームメイトたちはそんな私を気に留めてくれていたが、忙しくなるにつれて次第にサポートは無くなっていった。当然である。チームメイトは対等の関係であり、師匠でも先輩でもないのだ。

ふと、社会人3年目に大規模プロジェクトでマネジメントチームの一員だった時を思い出した。このプロジェクトで、私はキャリア最大のスランプに陥った。そのプロジェクトは会社でも指折りのマネージャーやエース級のメンバーを揃えながらも、苦戦を強いられていた。この危機的状況でチームに貢献すべく私がしたことは、マネージャーに指示を仰ぎ、その指示を必死にこなすことだった。自分で何をすべきかを考えるよりも、経験豊富なマネージャーたちの手足となったほうがチームのためになると思ったのだ。(というよりも、何をすれば良いのかわからなかったのかもしれない。)
しかし、これはチームの助けにならなかった。私に求められていたことは、プロジェクトの成功のために必要なことを自ら考え、それらを提案・実行することだった。私は、マネジメントの戦力として期待されていたにも関わらず、単なる労働力としてしか力を発揮することができなかった。このプロジェクトは成功したが、私個人としては目立った貢献をすることができず、悔しい思いをした。

今回のグループ・ワークとこのプロジェクトで、私は全く同じ失敗をしていた。なぜこのような失敗をしてしまったのか?
事実として、私はマネージャーとしていくつかのプロジェクトでチームに大きく貢献して、成功に導いた実績がある。それらのプロジェクトは決して簡単なものではなかった。技術面でもマネジメント面でも難しい局面がいくつもあったし、その都度様々な手を尽くして解決してきた。上記の失敗は私の能力不足が原因ではないと思う。
では、成功と失敗で何が違ったのだろう。それぞれを振り返ると、仕事に対する意識の持ち方に大きな違いがあった。成功したプロジェクトでは、マネージャーという立場上、プロジェクトのすべてに責任があった。プロジェクトの成功のために、他人ではなく、私がタスクのすべてを把握し、方針を考えてメンバーとともに実行した。一方で、失敗したプロジェクトや今回のグループ・ワークでは、「経験がない」、「自信がない」ということを言い訳にしてタスクについて自分で考えず、「経験のあるマネージャーや他のメンバーがなんとかしてくれるだろう」という他人任せのような思いがあった。

私の改善すべき点は、「自信がないと誰かに頼って、思考・提案・実行することを放棄すること」だと思う。これは当事者意識や責任感の欠如として現れ、持てる力を発揮することができなくなる。これはチームで働く際に致命的な弱点となる。

この弱点を克服するにはどうすれば良いのだろうか?
ファースト・タームの後半に、克服への糸口を見出すことができた。当時、私は手首の骨折から復帰して、なんとかチームに貢献しようと試行錯誤をしていた。ある時、流れで私ひとりがエコノミクスの課題を担当することになった。自信はなかったが断るわけにもいかず、必死に課題のレポートを作成した。当たり前だが、自分が主体となりレポートという目に見える形で結果を残してチームに貢献することができた。その実績からエコノミクスの後続の課題も担当することになり、(少なくともチームの中では)エコノミクスのエキスパートになった。
その結果、小さいながらも自信が生まれ、チーム内での存在感や信頼が増したと思う。この出来事は私にとって好循環を生んだ。他の科目でも、自分が担当した部分や学んだことについて、自信を持って発言できるようになったし、議論にも少しずつだが価値を付加できるようになった。つまり、「自信がなくても仕事を放棄せず、責任を持って仕事をこなすこと」で、自信と信頼を得たのだ。

自分がしたことは当たり前のことだし、些細なことである。しかし、この些細な成功体験がもたらしたポジティブな影響は大きなものだった。逆に言うと、それまで私は当たり前で些細なことすらしていなかったのだ。それによって、チームに負い目を感じて「自分に意見を言う権利はない」と無意識に自分を抑制していたのかもしれない。
大切なことは、「自信がなくてもやるべきことをやること」だと思う。「やるべきこと」、「やって当たり前のこと」、「やったほうがいいと思うこと」を実行することは、当たり前のことだがとても難しい。しかし、これらをコツコツ積み重ねることでしか成功体験や周囲からの信頼は得られないし、何より成長することはできない。
現時点の自分は当たり前のことすらできていないという事実を真摯に受け止め、一つ一つ愚直にこなすことを当面の目標としよう。

さあ、間も無くセカンド・タームが始まる。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です