はじめに

MBAのスタートが一週間後に迫った2018年8月25日、日本人のクラスメイトとカタルーニャ州タラゴナ(Tarragona)へ小旅行をしてきました。

タラゴナへ

タラゴナはバルセロナの西約80kmに位置する、地中海に面した港湾都市です。世界遺産に登録されている古代ローマの遺跡が点在する観光都市でもあります。

タラゴナへのアクセス

バルセロナ(Passeig de Gràcia駅)からrenfeのR. EXPRESを利用して約70分で、片道8.05€でした。車窓からは青い海を楽しむことができます。

タラゴナの見所

タラゴナには古代ローマの遺跡が点在しています。そのうち今回訪れた場所をご紹介します。

ラス・ファレラス水道橋(Pont del Diable)

タラゴナの北15キロにあるフランコリ川からタラゴナまで水を供給するために、皇帝アウグストゥスのローマ時代(紀元前27年〜紀元14年)に造られた水道橋で、「タラゴナの考古遺産群」として世界遺産に登録されています。18世紀まで実際に使用されていたそうです。また、「Devil’s Bridge / 悪魔の橋」とも呼ばれています。

「悪魔の橋」と呼ばれる理由となった伝説の概要をご紹介します。現実にはローマ時代の技師や労働者(奴隷?)たちが建造したのだと思います。

昔々、タラゴナのはずれに老夫婦が住んでいました。老夫婦は村で農作物を売っていましたが、村へ行くためにはロバを連れて川を越えなければなりません。その川には、古くてボロボロの木の橋がかかっているだけでした。

ある日、不幸にも橋が洪水で流されてしまいました。老夫婦はそれを見て、「困った。これでは村へ物を売りに行けない。新しい橋を造る力もない。」と途方に暮れてしまいました。

そこへ奇妙な男が通りかかり、老夫婦に話しかけてきました。老夫婦は男にいきさつを説明すると、男は「一晩で橋をかけてみせましょう」と言いました。老父婦は驚き、男に見返りを聞くと、「お代は入りません。ただし、最初に橋を渡った者の魂をいただきます。」と答えました。老夫婦は少し考えましたが、その申し出を受けることにしました。

翌朝、そこには立派な石造りの橋がかかっていました。老夫婦は橋の前で立ち尽くし、奇妙な男が悪魔だったことに気がつきました。しばらくの沈黙の後、老婆はロバのお尻を叩き橋を渡らせました。。。ところどころ崩落しており、何度も補修されているとは思いますが、とても頑丈な造りでとても2000年前の建造物とは思えませんでした。古代ローマの建築技術の高さに驚かされます。これほど巨大な建造物が2000年も原型を留めている!素晴らしい技術です!古代ローマの建築技術について調べてみようと思います(コンクリート技術が中心になるのかな?)。さらに、2000年前にすでに水道が開発されていたということも改めて驚きです。水道の歴史を辿ることは歴史を学ぶ上で面白そうなテーマですね。

ローマ時代の円形闘技場(Circ Roma)

この遺跡は大部分が旧市街の地下に埋まっているらしく、全体像を把握することはできません。一部発掘された箇所を見学することができます。

元々はローマ時代に造られた円形闘技場で、当時は戦車レースなどが開催されていたそうです。古代ローマにおいて、戦車レースは紀元前8世紀頃から行われていた、もっとも古い伝統の一つです。それがローマから遠く離れたヒスパニア・タラゴナの地でも行われていたことを考えると、ローマ勢力の強大さが伺えます。

話はずれますが、この時期スペインではどこの街へ行ってもFiestaが開催されておりとても賑やかです。この遺跡の向かいでも開催されていて、心地よいラテンミュージックが演奏されていました。この塔は1530年に、海からの攻撃に備えて監視塔として建造されました。八角形の塔になっており、中には鳩の巣がたくさんありました。闘技場の地下にはいくつもの部屋があります。5世紀から8世紀頃、これらの部屋はローマ帝国の衰退とともに放棄され、13世紀ごろまで使用されることはありませんでしたが、17世紀になりSant Felip軍の倉庫として使用されました。

Peter三世の統治下の1368年頃、城としても使用されていました。その屋上からはタラゴナの旧市街や美しい海が一望できます。

ローマ時代の建築物が用途を変えて約2000年に渡りしようされ続けているということは驚嘆に値します。この建物がどれだけの人々の営みを見つめてきたのでしょうか。

ローマ時代の劇場

タラゴナ大聖堂

Street Graffiti Art

バルセロナやタラゴナを歩いていて感じることの一つは、ストリートグラフィカルアートが盛んであるということでした。治安が良くないということを表しているわけですが、現代アートとしての魅力を感じるものがあります。タラゴナ市街地の廃退的な雰囲気と合わさり、独特な情緒を感じました。

張り紙が無造作に剥がされた様子がなぜか気に入ってしまいました。

何の張り紙かは分からないけれど、ハイセンスなグラフィティだと思います。

歴史がありそうな重厚な扉にも遠慮なく落書き。非常に無礼で反体制的。それがまた現代の側面であり、現実を示していると思います。

さいごに

紀元前27年頃、皇帝アウグストゥスの古代ローマにおいて、タラゴナ(Tracco)はヒスパニア・タラコネンシス属州の州都に制定され、政治・経済的に重要な都市となりました。現在もカタルーニャの重要な港湾都市ですが、ローマ時代に比すると重要度の面で相対的に衰退している様子が伺えます。一つの都市が100年、1000年単位で反映し続けることが如何に難しいのか、時の流れ、栄枯盛衰を感じました。個人的には、現代のタラゴナに残る旧市街の街並みや遺跡、廃退的なストリートカルチャーがとても気に入りました。バルセロナから近いこともあるので、また訪れて見たい街です。

また、古代ローマの歴史、建築技術、都市形成、文化、芸術や娯楽などにとても興味を惹かれました。ヨーロッパにいる間に色々な文献調査やフィールドワークをしたいと思います。